肴
弓親が部屋で仕事をしていると、乱暴に扉が開いた。
「弓親、珍しいな、一人か?」
「ええ、一角は阿散井君と修行しに行きました。おかげで仕事がはかどっちゃって。」
机の脇に積まれた書類の山は、今朝まで剣八の所にあったものだ。もう粗方片付いている。
「そうか。一角はいないのか。」
「一角にご用ですか?なんだ残念。」
剣八の言葉に、弓親は大袈裟にぷうっと頬を膨らませる。
「いや、やちるが女性なんたらの会議でいないもんだから、酒でも飲もうと思ったんだが…お前は持ってそうにないからな。」
「大丈夫ですよ。一角のお酒なら、ここにありますから。」
弓親は、自分の下を指差し、にっこりと微笑んだ。
「一角が飲みすぎないように、こっそり隠してるんです。飲んじゃいましょ。」
一角は机に寄りつきませんからねぇと、机を退け畳を捲ると、隠し扉があった。
一升瓶を5本ほど取り出すと、弓親は机を元に戻した。
「この位あったら足りますよね。どうします?お部屋に持っていきましょうか?」
「いや、ここでいい。」
当然のように座り込み、剣八は瓶の栓を開ける。
「僕、仕事中なんですけど…」
弓親は苦笑しながら書類を隅へ移動させた。
剣八は一升瓶をそのまま口に銜え、あっという間に空にする。
「なにか、軽く用意しますね。」
酒のつまみを持ってこようと立ち上がった弓親の、細い腕を剣八が掴んで引き寄せる。
欲情した雄の瞳が弓親を居竦めた。
「ユミ…肴は、お前でいい。」
吐息を感じるほどの耳元からの声に、弓親はゾクリと震える。
「酔って、おいでですか?」
「お前の色に、酔わせてみせろ。」
ユミ…と囁かれるだけで、腰から力が抜けそうになる。
その声だけで、弓親は剣八に酔い痴れる。
「隊長…」
剣八が口移しで弓親に酒を与える。舌を絡めると、口から零れた酒が弓親を濡らした。
「もったいねえ。」
酒の流れた痕を、剣八の舌が顎から首筋へ、鎖骨から胸へと辿る。
「あ…ぁ…」
「ユミ、昨夜は誰に抱かれた?随分と、物足りなかったみたいだなぁ。」
剣八は、白い肌にくっきりと残った、赤黒い閨の印に噛みつく。
「…っン…嬉しいな…妬いて、くれるんですか?」
「妬いちゃいねえよ。お前の淫行は今に始まったことじゃねえ。」
「は、ぁ…でも…隊長のが、一番、いぃ…」
ちらりと剣八の顔を窺うと、その肉棒を取出しで咥え、ジュルルと音をたててしゃぶり始めた。
徐々に膨らみ出すと、付根の辺りは手で亀頭部分は口一杯に頬張り刺激する。
完全に起ち上がったところで口内から解放し、丹念に舌を動かし丁寧に舐めると、剣八の先端から先走りが溢れ出す。
「ユミ…出すぞ。」
弓親が再び咥えた刹那、ドクドクと大量の精液が喉の奥まで降り注いだ。
喉を鳴らして飲み込む様に、肉欲が高まる。
剣八は乱暴に着物を剥いで、弓親を畳の上に押し倒した。
開かせた足を掴むと、排泄用の穴を指で拡げ、酒を注ぎ込む。
「…た、いちょ…?」
ひんやりとした感覚に、弓親は怪訝そうに潤んだ瞳を揺らした。
男を駆り立てる艶やかで淫靡な色香。
剣八は残りの酒を呷り空瓶を放り投げると、穴の周りを一舐めし舌を奥へと埋めた。
「…不味いな…」
自らの衣服を脱ぎ弓親の腰を抱えると、猛々しい塊を押しつける。
雄の熱さが伝わり弓親が力を抜く。剣八は一気に腰を進めた。
「ぁああ…は…ぁ…」
力強く激しい剣八の動きに合わせ、弓親も艶しく舞う。互いを貪り、幾度も精を放った。
「ユミ…」
凋んだ男根を引き抜くと、弓親の中から剣八のモノが溢れる。
さすがに限界かぐったりと横たわった弓親を抱え、残った精液を指で掻い出すと、ダラリと流れた。
弓親に着物を被せ衣服を纏うと、新たな酒瓶に手を出す。
一息吐いてぐるりと周囲を見渡すと、荒れた部屋と弓親の顔を交互に見比べた。
「こいつは…ヒステリー起こすだろうな…」
とはいえ、片付けるなどという事が出来るはずもなく、そのまま酒を飲み続ける。
「まあ、一角と恋次にやらせりゃいいか。」
一角と恋次は掃除を命令された部屋の扉を開け、愕然とする。
畳は裏返り、床板は折れ、酒瓶が散らばり、部屋の主は死んだように眠っている。
「な…何が、起こったんだ…?」
「あああ!俺の酒!うわ、1本も残ってねえ!」
「なぁに、五月蠅いな…」
一角の声に目を覚ました弓親が、部屋の在様に斬魄刀を開放する。
「ぎゃ〜〜弓親、俺らじゃない!」
「弓親さん、ちょ…うわ〜〜」
瀞霊廷中に二人の悲鳴が木霊した。
十一番隊は今日も賑やか。
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